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キミと越えて恋になる

【漫画感想】もし幼馴染が性別を変えて現れたら?『キミと越えて恋になる』が問いかける「好き」の本質

もし、ずっと女の子だと思っていた大切な幼馴染が、数年ぶりに再会したら、男の子の姿になっていた――?

そんな衝撃的な始まり方をするマンガが、今回ご紹介する『キミと越えて恋になる』(作:柚樹ちひろ)です。この物語は、単なる幼馴染との再会ラブストーリーではありません。私たちの心に、深く、そして静かに「人を好きになるって、どういうこと?」と問いかけてくる、切なくて温かい物語なんです。

息をのむ再会。君は、誰?

物語は、高校生の高嶺椿(たかね つばき)が、引っ越していった幼馴染と数年ぶりに再会するところから始まります。待ち合わせ場所に現れたのは、声の低い、背の高い、知らない男の子。戸惑う椿に、彼は少し照れたように笑ってこう告げます。

「俺だよ、柊」

日向柊(ひなた しゅう)。かつて椿が淡い恋心を抱いていた、女の子の幼馴染。彼女は、性別適合手術を受け、男性として椿の前に現れたのでした。

頭が真っ白になる椿。目の前にいるのは、確かに昔と変わらない笑顔を見せる柊。でも、その姿かたちは、自分の知っている「柊ちゃん」ではない…。好きだったあの子は、もうどこにもいないの? それとも、目の前にいる「彼」こそが、本当の柊なの? 椿の心は、喜びと混乱の渦に飲み込まれていきます。この序盤の、息苦しいほどのリアルな空気感と椿の心情描写に、一気に物語の世界へ引きずり込まれてしまいました。

葛藤する椿と、真っ直ぐな柊

この物語の魅力は、なんといっても主人公二人のキャラクター性です。

  • 高嶺椿(たかね つばき):突然の変化に戸惑い、自分の感情が何なのか分からなくなってしまう、ごく普通の高校生。彼の葛藤はとても人間的で、「もし自分が同じ立場だったら…」と考えずにはいられません。柊を傷つけたくない優しさと、割り切れない感情の間で揺れ動く姿に、胸が締め付けられます。

  • 日向柊(ひなた しゅう):自分らしく生きることを選び、強い意志を持って椿の前に現れます。彼の持つ真っ直ぐな明るさと、時折見せる繊細さがとても魅力的。椿に対して、昔と変わらない親愛の情を隠しません。その笑顔の裏には、どれほどの覚悟があったのでしょうか。

「好き」の形は一つじゃない

私がこの作品に強く惹かれたのは、このどうしようもなく複雑な状況で、二人がお互いの「好き」という感情の正体を探していく、その過程の丁寧さです。

姿かたちが変わってしまった相手を、あなたは以前と同じように愛せるでしょうか?そもそも、私たちが誰かに抱く「好き」という感情は、相手の性別や見た目にどれだけ左右されるものなのでしょう。

この物語は、私たちにそんな根源的な問いを投げかけてきます。読み進めるほどに、「椿ならどうする?」「自分だったら…」と考えさせられ、ページをめくる手が止まらなくなりました。

『キミと越えて恋になる』は、ただの恋愛マンガという枠には収まりきらない、深い感動を与えてくれる作品です。二人がいくつもの壁を「越えて」、どんな関係を築いていくのか。切なくて、でも希望に満ちた二人の未来を、ぜひ一緒に見届けてみませんか?

 

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