嘆きの亡霊は引退したい

【マンガ感想】もう無理、辞めたい！でも最強と勘違いされちゃう『嘆きの亡霊は引退したい』が面白すぎる！

もし、あなたのちょっとした行動や発言が、すべて「神の一手」だと周りに解釈されてしまったら？ しかも、そのせいで伝説的な英雄に祭り上げられ、引退したくても絶対にできなくなってしまったら……？

今回ご紹介したいマンガ『嘆きの亡霊は引退したい』は、まさにそんな悪夢のような（？）状況に陥った一人の男の物語です。

英雄なんかじゃない！ただの臆病者なんです！

物語の主人公、クライ・アンドリヒは、幼馴染たちと組んだパーティでトレジャーハンターとして活動していました。しかし、彼以外のメンバーは全員が規格外の才能を持つ天才ばかり。一方のクライは、特別な力もなく、ただただモンスターの脅威に怯え、常に「どうやって安全に逃げ帰るか」だけを考えていました。

ある日、彼の心はついに限界を迎えます。「もう無理だ……！」。命からがら故郷に逃げ帰った彼を待っていたのは、ねぎらいの言葉ではなく、英雄への盛大な賛辞でした。

そう、彼が「ただ必死に逃げただけ」の行動は、仲間や周囲の人々から「仲間を助けるための囮役」「敵の意表を突く神算鬼謀」だと、ことごとく良い方向に勘違いされていたのです！

気づけば、人類最高峰の実力者である「レベル8」の称号を与えられ、巨大クランのマスターに就任。彼の願いはただ一つ、「すべてを投げ出して、平穏に引退したい」。しかし、彼の周りでは次から次へと大きな事件が起こり、そのたびに彼の「逃げ」や「慎重さ」が奇跡的な結果を生んでしまうのです。その勘違いの連鎖は、もはや芸術の域に達しています。

個性的すぎるキャラクターたち

• クライ・アンドリヒ
  本作の主人公であり、稀代の「勘違いされ英雄」。臆病で小心者、常に胃を痛めていますが、彼のネガティブな発想がなぜか最良の結果を呼び込みます。彼の心の叫びと、周囲の評価のギャップがとにかく面白い！

• クライの幼馴染たち
  剣聖、魔導師、聖女など、それぞれが一騎当千の実力を持つ本物の天才たち。しかし、彼らはクライのことを心から尊敬し、その言葉を神託のように信じて疑いません。彼らの純粋すぎる忠誠心が、クライをさらなる窮地（と栄光）へ追い込んでいきます。

もしあなたがクライの立場だったら？

この物語の最大の魅力は、主人公クライの悲痛な心の叫びと、周囲のポジティブすぎる勘違いが生み出す、極上のコメディにあります。ハラハラしながらも、そのすれ違いっぷりに思わず笑ってしまうこと間違いなしです。

読みながら、「もし自分がクライの立場だったら、この巨大な勘違いの波にどう立ち向かうだろう？」と考えてしまいました。早々に真実をぶちまけて大混乱を招くか、それとも腹を括って最強の英雄を演じ続けるか……。あなたなら、どうしますか？

勘違いから始まる英雄譚というジャンルの中でも、本作の面白さは頭一つ抜けていると感じます。コメディが好きな方はもちろん、「もう頑張りたくない」と思っている少しお疲れ気味の方にも、ぜひ読んでみてほしい一作です。

一刻も早く引退したいと嘆く彼の運命を、ぜひその目で見届けてみてください！

今すぐ「嘆きの亡霊は引退したい」を読んでみる