ウィッチウォッチ
ある日、幼馴染が「魔女」になって帰ってきたら?|『ウィッチウォッチ』が描く笑いと絆の物語
もし、ある日突然、あなたの平穏な日常に「魔法」が飛び込んできたらどうしますか? しかも、その魔法の使い手が、昔なじみの幼馴染だったとしたら——。
今回、僕が熱を込めて紹介したいのが、そんな摩訶不思議な「if」を最高に面白く、そして温かく描いてくれるマンガ、篠原健太先生の『ウィッチウォッチ』です。
予測不能な魔法が日常を揺るがす!
物語の主人公は、乙木守仁(おとぎ もりひと)。鬼の力を持つ一族の末裔で、古風かつカタブツな高校生です。彼の日常は、6年ぶりに再会した幼馴染・若月ニコが、文字通りほうきに乗って空から現れたことで一変します。
「私、魔女になったんだ!」。
そう宣言するニコは、来るべき災いから世界を守るため、修行と称してモリヒトの家に居候することに。そしてモリヒトは、ニコを災いから守る「使い魔(守護者)」としての役目を課せられるのです。
ここから始まるのが、一つ屋根の下で繰り広げられる奇妙な共同生活。天真爛漫でドジっ子なニコが、善意100%で繰り出す魔法は、なぜかいつも想定外のトラブルを巻き起こします。突然部屋の天井が抜け落ちたり、街中にマンドラゴラの悲鳴が響き渡ったり…。常識人のモリヒトは、その度に頭を抱え、鬼の力で必死に尻拭いをする毎日。もし自分の身にこんなことばかり起きたら、果たして冷静でいられるでしょうか…?
この序盤のドタバタ劇が本当に秀逸で、ページをめくる手が止まりません。単なるファンタジーではなく、「現代社会に魔法があったら」というリアルな騒動が、臨場感たっぷりに描かれているんです。
個性豊かなキャラクターたちが織りなす化学反応
『ウィッチウォッチ』の魅力は、主人公コンビだけではありません。
- 乙木 守仁(モリヒト): クールで真面目な鬼の少年。ニコの破天荒な魔法に振り回されながらも、なんだかんだで面倒見が良く、その秘めたる優しさにグッときます。
- 若月 ニコ: 明るく純粋な新米魔女。失敗だらけの魔法ですが、彼女の「誰かの役に立ちたい」という真っ直ぐな想いは、周りの人々を照らす太陽のようです。
- 真神 圭護(カンシ): 狼男の血を引く、お調子者で情に厚い仲間。単純ですが、いざという時に見せる男気が最高にカッコいい!
- 風祭みはり(ミハル): 天狗の血を引く発明家。彼の生み出すユニークな発明品が、物語にさらなるカオスと笑いをもたらしてくれます。
こんな個性豊かな面々が一つ屋根の下に集まり、まるで本当の家族のように絆を深めていく様子は、見ていて心が温かくなります。
笑いとシリアスの絶妙なバランスに心揺さぶられる
僕がこの作品にどっぷりハマってしまった最大の理由は、この「家族」のような日常から一転、彼らを待ち受けるシリアスな運命とのギャップです。普段は腹を抱えて笑えるコメディなのに、ふとした瞬間に描かれるキャラクターの過去や、ニコに迫る「災い」の予言には、思わず胸が締め付けられます。
作者は『SKET DANCE』や『彼方のアストラ』で知られる篠原健太先生。読者の心を掴むストーリーテリングと、魅力的なキャラクター造形は今作でも健在です。
笑って、ちょっと切なくなって、そして最後には必ず心が温かくなる。そんな魔法のようなマンガ体験が、『ウィッチウォッチ』には詰まっています。まだこの不思議で楽しい世界に触れたことのない方は、ぜひ一度、彼らの日常を覗いてみてください。きっとあなたも、この奇妙な「家族」の一員になりたくなるはずです。
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