「ゲーム・オブ・スローンズ」を見ていると、特に後半シーズンで「あれ、ブランってこんなキャラだったっけ？」と感じた方は多いのではないでしょうか。無邪気だった少年が、どこか人間離れした雰囲気をまとうようになり、「変わりすぎだ…」という声も少なくありません。彼に一体何が起こったのか、その変化の理由を探ってみましょう。
単に「三つ目の鴉」になったから、というだけでは片付けられない、ブラン・スタークの変化。ファンの間では、もっと深い、あるいはダークな理由があるのでは？という憶測も飛び交っています。この記事では、ブランの変化の核心に迫り、なぜ彼がこれほどまでに「変わりすぎ」と言われるのかを、具体的なシーンや能力と共に詳しく解説していきます。
1. ブランの変化の始まり：「三つ目の鴉」への覚醒
「ゲーム・オブ・スローンズ」の魅力の一つは、登場人物たちが過酷な運命の中で変化し、成長していく姿です。その中でも、ブラン・スタークの変化は特に劇的でした。
物語序盤、彼は好奇心旺盛な少年でしたが、ジェイミー・ラニスターによって塔から突き落とされ、歩行能力を失います。しかし、この悲劇が彼を新たな運命へと導きました。壁の向こうへの過酷な旅の末、ブランは先代の「三つ目の鴉」と出会い、その能力と役割を受け継ぐことになります。
「三つ目の鴉」となったブランは、単に歩けない少年ではなくなりました。過去、現在、未来を見通すという、人間を超えた能力を手に入れたのです。しかし、その代償は大きく、以前のブランが持っていた感情や人間らしさが徐々に失われていくように見えました。視聴者は、かつての面影を残しながらも、どこか達観し、冷徹さすら感じさせる姿に、「変わりすぎだ」と戸惑いを覚えたのかもしれません。これはゲームオブスローンズのブランが変わりすぎていると感じる大きな要因の一つでしょう。
2. 「三つ目の鴉」の能力：過去・現在・未来を見通す力
「三つ目の鴉」とは、単なる称号ではありません。それは、世界の記憶そのものと繋がる能力を持つ存在です。
- 過去視（グリーンサイト）：ブランは過去に起きた出来事を、まるでその場にいるかのように「見る」ことができます。これにより、歴史の真実や隠された秘密を知ることが可能になりました。
- 現在視（狼潜り/ワーグ）：動物、特に自身のダイアウルフであるサマーや他の鴉などに意識を移し、遠く離れた場所の出来事をリアルタイムで把握できます。
- 未来視：断片的ではありますが、これから起こりうる出来事のビジョンを見ることもできます。ただし、未来は確定しておらず、解釈が難しい場合もあります。
これらの能力は、ブランに膨大な知識と情報をもたらしました。ウェスタロスの長い歴史、人々の行動原理、そして来るべき脅威。彼は、他の誰にも知り得ない視点から世界を認識するようになったのです。この全知に近い能力こそが、ブランを以前の彼とは全く異なる存在へと変貌させた根源と言えるでしょう。
3. なぜブランは「変わりすぎ」に見えるのか？能力の代償
「三つ目の鴉」の力は絶大ですが、それを得ることはブランから多くのものを奪いました。視聴者が「変わりすぎ」と感じる理由は、主に以下の点にあると考えられます。
- 感情の希薄化：膨大な情報と知識、何千年もの歴史をその身に宿した結果、個人の感情や欲求が希薄になっていったように見えます。姉のサンサや、かつての仲間であるシオン・グレイジョイとの再会シーンなどでも、喜びや悲しみといった感情的な反応が乏しく、どこか他人事のような態度に見えました。
- 人間関係の変化：以前のような家族や友人との親密な関係性は失われ、まるで予言者のような、あるいは傍観者のような立ち位置になりました。彼の発言は真実を突いていますが、時に冷たく、共感を欠いているように受け取られがちです。
- 目的の変化：個人の望みよりも、「三つ目の鴉」としての役割、すなわち人類を「夜の王」から守ることが最優先事項となりました。そのためには、非情とも思える判断を下すことも厭わない姿勢を見せます。
これらの変化は、ブランがもはや単なる人間ではなく、世界の記憶と運命を背負う特別な存在になったことの証左です。しかし、感情移入しやすいキャラクターが多かった「ゲーム・オブ・スローンズ」において、彼の人間離れした変化は、一部の視聴者にとっては受け入れがたいものだったのかもしれません。
4. ブランの能力が物語を動かした具体例
ブランの得た能力は、物語の重要な局面で決定的な役割を果たしました。
- ジョン・スノウの出自の解明：ブランは過去視能力を使って、ジョンがレイガー・ターガリエンとリアナ・スタークの息子、すなわち鉄の玉座の正当な後継者であることを突き止めました。これは物語の根幹を揺るがす重大な真実でした。
- サンサの危機回避への示唆：直接的に救ったわけではありませんが、ブランはピーター・ベイリッシュ（リトルフィンガー）の過去の裏切りや陰謀を知っていました。その情報をサンサやアリアと共有したことが、リトルフィンガーの失脚と処刑に繋がり、間接的にサンサを更なる危機から救ったと言えます。
- 夜の王との対決：「三つ目の鴉」は夜の王が破壊しようとする世界の記憶そのものであり、ブランは夜の王をおびき寄せるための「餌」としての役割を自ら買って出ました。彼の存在なくして、人類の勝利はありえなかったでしょう。
このように、ブランの能力は、隠された真実を暴き、登場人物たちの運命を左右し、最終的な戦いの鍵を握るなど、物語全体に計り知れない影響を与えたのです。
5. 変わりすぎたブランへの様々な解釈とファンの声
ブランの変化については、ファンの間でも様々な意見や考察があります。
- 能力の必然的な代償：多くのファンは、膨大な知識と意識の拡大により、人間的な感情や個性が薄れるのは避けられない代償だと解釈しています。
- 夜の王の影響？：一部では、ブランが壁の向こうで夜の王に触れられた際に、何らかの精神的な影響を受けたのではないか、というダークな考察も存在します。
- 新たな「神」の誕生？：人間を超越し、世界のすべてを知る存在となったブランを、ある種の神格化された存在と捉える見方もあります。最終的に彼が王に選ばれた結末も、この解釈を補強するかもしれません。（この結末については、ゲームオブスローンズ最終章の炎上として賛否両論あります）
- 俳優の成長：演じるアイザック・ヘンプステッド＝ライト自身の成長による外見の変化も、キャラクターの変化を強調する一因となっているでしょう。
Yahoo!知恵袋などでも「ブランが冷たくなった」「別人みたい」といった感想が多く見られ、共感しにくいキャラクターになったと感じる視聴者が少なくないことがうかがえます。しかし、彼の変化こそが「ゲーム・オブ・スローンズ」という物語の深みと複雑さを象徴しているとも言えるでしょう。
6. まとめ：変わりすぎたブランは物語の鍵だった
「ゲーム・オブ・スローンズ」におけるブラン・スタークの変化は、多くの視聴者にとって衝撃的であり、「変わりすぎ」という感想を抱かせるものでした。その理由は、「三つ目の鴉」として過去・現在・未来を見通す強大な能力を得た代償として、人間的な感情や個性が希薄になっていったためと考えられます。
しかし、その変化と能力があったからこそ、物語の核心に迫る真実が明らかになり、人類は最大の脅威に立ち向かうことができました。感情移入はしにくくなったかもしれませんが、ブランはウェスタロスの運命を左右する上で、間違いなく最も重要なキャラクターの一人だったのです。
彼の変化を理解することで、「ゲーム・オブ・スローンズ」の世界をより深く味わうことができるはずです。
